今も残る鉄筋の家の前で、伸びた雑草を刈り取る田中益也さん(左)、千鶴子さん=淡路市野島蟇浦
今も残る鉄筋の家の前で、伸びた雑草を刈り取る田中益也さん(左)、千鶴子さん=淡路市野島蟇浦

 今月上旬、冷たい風が吹く淡路市野島蟇浦の木造民家跡で、洲本市五色町鮎原神陽の田中千鶴子さん(84)と夫益也さん(86)が草を刈っていた。千鶴子さんの兄夫婦はここで阪神・淡路大震災の犠牲になった。千鶴子さんと益也さんがあるじ亡き場所の草刈りを続けて30年。2人は今年も兄夫婦の無念に思いをはせ、鎌を握った。(中村有沙)