兵庫県警察本部=神戸市中央区
兵庫県警察本部=神戸市中央区

 山林の所有者に売却を持ちかけて代金をだまし取ったとして、兵庫県警生活経済課と生田署などは7月31日、詐欺の疑いで、東京都足立区の無職の男(65)=出資法違反罪で起訴済み=を再逮捕し、新たに仙台市の無職の男(35)を逮捕した。同課によると、男らは会社として山林売却の勧誘を全国展開し、足立区の男が実質的経営者だったという。

 2人の逮捕容疑は共謀して2021年8月、愛知県の男性(74)に岐阜県郡上市の山林売却を持ちかけるなどして300万円をだまし取った疑い。同課は2人の認否を明らかにしていない。

 同課によると、2人は「会社の資金繰りがうまくいっていない。一時的に神戸市長田区の宅地を購入してほしい」などとうそを告げ、男性をだましていた。押収した資料などから、他にも9都県の男女12人がだまされ、被害総額は計約3350万円に上るとしている。愛知県の男性も含めた9人は、21年7~10月に土地売買契約を結び、いずれも同じ長田区の宅地を購入したことになっていた。

 同課によると、男らはインターネットで閲覧できる「登記情報提供サービス」で山林所有者の情報を入手。土地売却の意向を尋ねるアンケートを送り、返信があった人に売却を持ちかけていたという。被害者の多くは山林の処分に困っており、同課は男らが山林所有者に狙いを定めていたとみている。

 足立区の男は今年5月、別事件で出資法違反の疑いで逮捕され、神戸地検が同違反罪で起訴。7月には山林売却の際の測量代名目で現金を詐取したとして、詐欺容疑で再逮捕された。