2024年に宝塚歌劇が創立110周年を迎えるにあたり、10日、宝塚市栄町1の宝塚ホテルで概要発表会があった。5組のトップスターが登壇し、どんな年にしたいか、抱負を語った。記者から「110周年の意気込みを漢字一文字で表すと?」との問いにも、それぞれが組の個性を意識しながら答えた。(小尾絵生)
来年1月1日、新年のトップを飾るのは星組「RRR×TAKA“R”AZUKA(アールアールアール・バイ・タカラヅカ)~√Bheem(ルート・ビーム)」、レビュー「VIOLETOPIA(ヴィオレトピア)」。
礼真琴(れい・まこと)は「RRRは初の舞台化作品として宝塚でどう上演するのか。演出の先生方らと新たなステージを作っていきたい。レビューは演出の指田珠子先生のデビュー作となる。お芝居、レビュー共に110周年のいいスタートを切りたい」とし、漢字は躍動感を表す「進」とした。「この数年星組はハードでパワーのいる作品を上演し、体力をつけてきた。体育会系とも言われる勢いをもって作品に取り組んでいる。一人一人が一つのものに向ける力を感じているので、団結力をさらに強めていきたい」。
2月9日に開幕の一本物のミュージカル「アルカンシェル~パリに架かる虹~」について、花組の柚香光(ゆずか・れい)は「演出の小池秀一郎先生の一本物の書き下ろし作品ということで、胸が高鳴っている。戦時下のパリで劇場の火を消してはならないと奮闘する役を演じることに大きな責任を感じる。タイトルは虹の意味があり、120周年に向け大きな虹が架けられるような作品になるよう大切に務めたい」と力を込めた。
さらに「花組は華やかな組であり、一人一人が活気と個性にあふれている。舞台の隅々まで駆け回りながら生き生きと輝いている様子を見てもらいたい」との思いで、漢字は「煌(きら)めく」の「煌」を選んだ。
月組は3月29日から、ミュージカル「Eternal Voice(エターナル・ボイス)消え残る想い」とレビュー「Grande TAKARAZUKA110!」。月城(つきしろ)かなとは「お芝居では演出正塚晴彦先生の久しぶりの大劇場での書き下ろし作品。ショーでは初舞台生を迎えて、歌劇110周年を祝うレビュー。月組一同明るく爽やかな舞台を届けられるよう精いっぱい頑張っていきたい」と語った。そのきらきらしたイメージから「輝」の一文字を挙げた。
さらに「芝居の月組といわれるが、下級生まで誇りをもって芝居に熱い思いをもっている。伝統としてつないでいかなければと感じており、この110周年から120周年、さらにもっと先へとつないでいきたい」と力強い。
宙組トップに就任した芹香斗亜(せりか・とあ)は自身も楽しみにしているという日本物レビュー「宝塚110年の恋のうた」、大人気ゲームが原作のミュージカル「FINAL FANTASY XVI(ファイナル・ファンタジー16)」について語った。開幕は5月17日。
「宝塚歌劇でしかできない日本物の豪華絢爛(けんらん)なショー。そして私もファンの一人である、ファイナルファンタジーシリーズのミュージカル化ということで、心躍る演目。110年も挑戦を続け、宝塚を守り続けてくださった先輩、また愛しつづけてくださる皆様に感謝の気持ちを込めたい」。レビューのタイトルにちなみ「宙組に恋してほしいので、漢字は『恋』にします」と笑顔を見せた。
「宙組は他組と違い、今年25周年を迎え、成人したばかりの組。新たな魅力を生み出したいという願いの下、アグレッシブさ、大胆さが魅力の組でありたい」
雪組で名作「ベルサイユのばら-フェルゼン編-」(7月6日~)に挑むのが彩風咲奈(あやかぜ・さきな)。東京公演中で、リモートでの参加となった。「宝塚の財産でもある演目で身の引き締まる思い。新人公演時代にも演じたフェルゼンという役に再び挑戦でき幸せ。いまこの時代だからこそできるベルサイユのばらをお届けしたい」。伝統ある演目でもあり、「諸先輩方の思いを受け継ぐ意味で一文字は『繫(つなぐ)』にします」と説明した。
「雪組はしんしんと降り積もる雪のように、みんながこつこつと努力を積み重ね、芸と向き合っているのが魅力。その中にも大家族のようなアットホームさがあり、厳しさとまじめさが両立している」とアピールした。