PerfumeのJPNツアー初日、2日目が開催されたワールド記念ホール=神戸市中央区港島中町6
PerfumeのJPNツアー初日、2日目が開催されたワールド記念ホール=神戸市中央区港島中町6

 女性3人組ユニットPerfume(パフューム)初となる大規模衣装展「Perfume COSTUME MUSEUM」(神戸新聞社主催)が、兵庫県立美術館で開催されるにあたり、神戸新聞社編集局のファンを自称する有志で、Perfumeと兵庫の縁を無理やり考えました。勝手に聖地と呼んでいきます。異論は認めます。

 まず思い出されるのが、メジャーデビューから7年後の2012年に開かれた、初のアリーナツアー「Perfume 3rd Tour JPN」の初日です。会場は神戸・ポートアイランドにある神戸ワールド記念ホールでした。チケット即完で行けなかった(あれからアリーナは大阪ばかり…。神戸での開催を熱望します…)。本ツアーの映像作品は、DVD、BDで販売されています。

 ツアータイトルでもあるアルバム「JPN」の収録曲には、キリンチューハイ氷結のテレビCMで流れた名曲が複数あり、Perfumeファン、音楽ファンならずとも、お茶の間(死語かもしれないですが)で見たよ、聞いたよ、という人は多いのではないでしょうか。

 3人はこの13カ所22公演のツアーで全国を駆け抜け、同じ年の秋、海外ツアーに初挑戦します。アーティストとして激動の年だったのではないでしょうか。そんな中、神戸の記憶が3人の中に少しでも残っているとしたら、県民としてうれしいです。ご多忙でしょうから、覚えてなくてもかまいません。ええ、仕方ないです。

 さて、私たちが勝手に聖地認定する神戸ワールド記念ホールは、約8千人収容の多目的ホールで、神戸での大型コンサートといえば、だいたいここ。ちなみに神戸大の入学式もここです。あ~ちゃんが大ファンを公言する9人組グループ「NiziU(ニジュー)」による、初の全国ツアー千秋楽は昨年、同ホールでありました。神戸・三宮とポートアイランドをつなぐ神戸新交通ポートライナーに乗って約10分、市民広場駅で下車して少し歩けば会場に着きます。

 神戸ワールド記念ホールと呼ばれますが、本名は神戸ポートアイランドホールです。ワールドは、ポートアイランドの神戸ファッションタウンに本社を置く、大手アパレル企業の名前。最近、あちこちにあるネーミングライツによるものではなく、創立20年記念で、同社が神戸市に20億円を寄付したことに由来する愛称なんだそう。ついでに三宮センター街にかかる、衣装展の特大バナーの上にある「WORLD」の文字は同社です。衣装展にぴったりな組み合わせですね。

 次に思い浮かぶ無理やりな聖地は、神戸・三宮にある神戸国際会館でしょうか。2021年、同館こくさいホールで、最新技術を駆使したコンセプトライブ「Reframe(リフレーム)Tour2021」が開かれました。ここでは、神戸は全国5カ所のうちの一つに選ばれました! (でも行けませんでした…。19年の東京公演は行けましたが…)。東京公演の模様は、大手動画配信サイトで視聴できます。

 この公演は、新型コロナウイルスの感染症対策で、マスク着用、検温の徹底、客席からの声出し禁止の形式でした。ただし、19年の東京初演でも既に、着席、声出しなしと、新たな鑑賞スタイルを打ち出していました。コロナ禍前から、時代を先取りするという、Perfumeらしい形だったと思います。内容は(今回の衣装展と同様)、Perfumeが積み重ねてきた歴史に触れられる構成でした。

 会場の神戸国際会館は1956年、進駐軍のイーストキャンプ跡地に開業したのが一代目。神戸の戦後復興の象徴的な建物の一つでした。しかし95年の阪神・淡路大震災で全壊する悲劇に遭遇しました。99年には映画館なども有する大型複合施設として再建され、再び復興のシンボルに。こくさいホールの収容人数は約2千人。音響に定評があり、クラシックからポップス、ミュージカル、演劇など幅広く開催されています。

 今秋に予定されるPerfumeファンクラブツアーも、神戸ではこくさいホールで開かれますね。こちらも楽しみです(こちらは当選しました♡)。

 

 そして今回、新たな聖地となるのが、何と言っても兵庫県立美術館です。ファンの方々から、SNS上で「訪ねたよ」の投稿が相次いでいます。会期前からのわくわく感が伝わります。ええ、分かります。衣装展の開幕に先立って、入り口に大型のサイコロ型看板などがお目見えしており、四方八方に、メインビジュアルがあることから、開演を待つライブ会場さながらです。

 こちらは世界的建築家安藤忠雄さんの設計による特徴的な建造物で、2002年に開館しました。海に面した、神戸東部新都心「HAT神戸」に位置します。元々は製鋼所などがありました。同じエリアには、阪神・淡路大震災の記憶と教訓を伝える「人と防災未来センター」などがあります。最寄り駅は阪神岩屋駅とJR灘駅で、いずれも神戸・三宮から上り線に乗って5分程度、そこから歩いて10分ほど。両駅には、衣装展のチラシやポスターがそろい、開幕への機運が高まっています(そう見えます)。

 美術館に話を戻すと、建築物に見どころはたくさんあるのですが、屋外の海のデッキにある、安藤さん作の「青いりんご」のオブジェは外せません。そう、09年リリースのシングル「ワンルーム・ディスコ」のPVに登場する赤いりんご、「Spending all my time(スペンディング・オール・マイ・タイム)(12年)の青いりんごを勝手にほうふつとさせます。大きいです。19年に安藤さんが寄贈した作品で、氏は「青いりんごは、青春のシンボル。若い頃の目標を思い出してもらえるような場所になれば」と語っています。なんとなく、イメージに合いますよね。

 今回列挙した兵庫で無理やり聖地は、神戸・三宮からはいずれも近くです。どこかに立ち寄った際は、「こんな逸話があるんだな」と、ふと思い出していただけたら幸いです。(長嶺麻子)

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 神戸新聞創刊125周年記念・特別展「Perfume COSTUME MUSSEUM(パフューム・コスチューム・ミュージアム)」は9月9日から11月26日、兵庫県立美術館(神戸市中央区脇浜海岸通1)で開かれる。