詩歌や散文作品を読者から募る「神戸新聞文芸」欄の2023年最優秀賞の表彰式が28日、神戸市中央区の神戸新聞社であった。「生きがいとして」「書くという文化がなくならないように」-。言葉の世界で自らと向き合い、作品として昇華させた受賞者7人が思いを語った。
神戸新聞文芸は原則、毎週月曜に掲載。俳句▽詩▽短歌▽川柳▽エッセー・小説▽ショートエッセー-の6部門がある。今回は6人の選者が23年の特選作品から俳句を2点、その他は各1点を最優秀賞に選出した。
今﨑良平さん(86)=神戸市垂水区=は自身や若者の雄飛を燕の巣立ちに重ねた俳句「翼もつことに氣づきて燕の子」で受賞。俳句の魅力を「人工知能(AI)が発達し、季節感がだんだんなくなりつつある時代にあって、忘れ去られゆく風物、習慣などを学び直せる」とした。
川柳の中村真也さん(49)=同市兵庫区=は新型コロナウイルス禍で勤め先が廃業。ふらり訪ねた動物園の象の姿に「時間はたっぷりある。焦るな」と言われている気がし、受賞作「早送りされてく象のいる町で」が生まれたという。「まだまだ先が見えない。川柳を支えに」と話した。
昨年1年間の応募総数は俳句、詩、短歌、川柳が計計4万1503点(月平均3459点)、エッセー・小説とショートエッセーが計422点(同35点)だった。(仲井雅史)