ピアニストの伊藤勝(71)=神戸市東灘区=が25日、兵庫県立芸術文化センター(西宮市)で2年ぶりにリサイタルを開く。ショパンのバラード全曲とシューマンの交響的練習曲という、ロマン派を代表する作曲家2人の傑作に挑む。
長年、演奏活動や後進の育成に取り組みながら、地域の音楽文化発展に尽くしている伊藤。阪神・淡路大震災が起きた1995年から神戸市立北区文化センターで続く「すずらんホールコンサート」や、2015年から神戸新聞松方ホール(同市中央区)で開かれている「3台のピアノによるスーパーピアノフェスティバル」など多彩な催しに関わっている。業績が評価され、昨年には県から「ともしびの賞」を受けた。
リサイタルは受賞記念として開催。ショパンについて伊藤は「この年齢になってようやく理解できるようになってきた。力まず、楽に弾ける奏法を確立しようとしている」と話す。「ショパン自身が虚弱体質で、強いスタイルで弾く作品ではない。でも宇宙的なスケール感があり、うまく表現したい」と意気込む。
シューマンの交響的練習曲ではオーケストラを思わせる奥行きや豊かな色彩感を表現する。伊藤は「恋愛だけではなく、きれいな花や海、夕焼けを見た時のように、現実から離れてまさにロマンチックな世界に浸っていただきたい」と呼びかける。
午後2時開演。3千円。伊藤さんTEL090・1146・8057
(藤森恵一郎)