欧米のクラシック音楽界で日本人が活躍する道を切り開いた指揮者、小澤征爾さんが2月6日に亡くなった。日本を代表するバイオリニストの一人、豊嶋泰嗣さん(59)は、学生時代以来40年近く小澤さんと関わってきた。「本番中の音楽と格闘している表情、全てが終わりホッとしたにこやかな表情。どちらも忘れられない」と語る。(藤森恵一郎)
豊嶋さんが小澤さんと出会ったのは桐朋学園大在学中。当時小澤さんは、ボストン交響楽団の音楽監督として活躍していた。「たまに日本に帰ってきて、オーケストラの授業で振ってくれたりアドバイスしてくれたり。とにかくエネルギッシュでした」
大学卒業と同時に、小澤さんらが創立した新日本フィルハーモニー交響楽団(東京)に入り、若くしてコンマスを任された。「小澤さんは『こいつ大丈夫か』と心配していたみたいですけど、長い目で見てくださった」と感謝する。