■大ファンの吉田大八監督、世界観のびのび表現
作家・筒井康隆さん(神戸市在住)の同名小説が原作の映画「敵」がシネ・リーブル神戸などで上映されている。中学生の頃に「東海道戦争」「霊長類南へ」などを読んで以来、大ファンの吉田大八監督は「自分の中の『筒井性』をのびのび出した」と満足げだ。
フランス近代演劇史が専門の元大学教授、77歳の渡辺儀助(長塚京三さん)は妻に先立たれ、古い一軒家で1人暮らし。蓄えがなくなる時が人生の終わりと語り、遺言状も書いた。買い物や食事など、ぜいたくはしないが丁寧な暮らしぶり。だが、亡妻や元教え子の女性、行きつけのバーに出入りするフランス文学専攻の女子大生が、夢なのか現実なのか判然としないまま儀助に語り掛けてくる。そんなある日、パソコン画面に「敵がやってくる」というメッセージが現れる。