昨年12月17日にオープンした「ロピア西宮今津店」=西宮市今津港町
昨年12月17日にオープンした「ロピア西宮今津店」=西宮市今津港町

 「初めまして、ロピアで~す」「楽しんでいってくださ~い」

 昨年12月17日、西宮市南部にオープンした食品スーパー「ロピア西宮今津店」を取材した。店に入ると、店員の元気のいい声が次々と飛んできた。このテンションの高さ、「食のテーマパーク」をうたうだけのことはある。

 精肉や鮮魚、青果などの生鮮食品は評判通りの安さ。人気のピザは店で焼くので箱が温かく、巨大なハンバーガーは飛ぶように売れていた。店内は開店を待ちわびたお客でごった返し、目当ての品を次々とかごに放り込んでいた。

 その1カ月後の今年1月23日。同じ西宮市に今度は「オーケー西宮北口店」がオープンした。オーケーにとって関西第2号店で、兵庫県内では初の店舗だ。「毎日が特売」を前面に出している。朝から多くの客が並び、二宮涼太郎社長も終日、オープン初日の様子を見守っていた。

 二宮社長らは西宮北口店のオープンに先立ち、えべっさんの総本社・西宮神社を参拝した。同神社の拝殿に掲げられた「西宮神社」の額は、ダイエー創業者の中内功氏の筆によるものだ。西宮神社のX(旧ツイッター)によると、中内氏は1980年、小売業界初となる売上高1兆円を達成した記念に奉納したという。

 オーケーにとって、関西は因縁の地だ。2021年、関西スーパーマーケット(伊丹市)を買収しようとしたが、流通大手エイチ・ツー・オー(H2O)リテイリング(大阪市)との争奪戦に敗れたからだ。それから3年を経た昨年11月26日、大阪府東大阪市に関西1号店を自力で開いた。二宮社長は満面の笑みで、買い物客を迎え入れていた。

 ロピアは川崎市、オーケーは横浜市に本社を置く首都圏が地盤のスーパーだ。いずれも低価格を売りに成長を続け、関西の消費市場に乗り込んできた。

 この2社以外にも、関西には中部や中四国から流通企業がどんどん出店している。流通大手バローホールディングス(岐阜県)、中四国が地盤のハローズ(広島県福山市)、ディスカウントストアのダイレックス(佐賀市)やトライアル(福岡市)…。これまでの関西の勢力図を塗り替える勢いで、出店が続く。

 しかし、いくつかの疑問が浮かんだ。関西は人口減少が進み、地場のスーパーの競争も激しい。なぜ、わざわざ激戦地に進出を? どんな「勝ち筋」を描いているの? 迎え撃つ関西勢の戦略は?

 そんな思いを抱きながら、各社のスーパーを訪ねた。(広岡磨璃)