踏切内で転倒した高齢女性を協力して助けたとして、兵庫県警宝塚署は16日、いずれも県立伊丹高校2年生、バレー部員の増田睦月さん(16)=同県川西市=と松村翔瑠(かける)さん(16)=同=に県の善行賞「のじぎく賞」を伝達した。「とにかく助けないと」と、得意の連係プレーを発揮した2人。「おばあさんが助かってよかった」と笑顔で話した。(村上貴浩)
5月25日の朝、2人は一緒に朝食をとり、部活動の練習のために自転車で学校に向かっていた。午前10時20分ごろ、宝塚市南ひばりガ丘1にあるJR宝塚線城丸踏切に近づくと、下がった遮断機の向こうの線路上に、高齢女性が転倒しているのが見えた。
「最初はあまり何も考えずに中に入った」と、増田さんは遮断機を飛び越えて女性に駆け寄った。松村さんも電車の緊急停止ボタンを押すか一瞬迷ったが、来ないことを確認し、すぐさま中に入った。
女性は頭を打った様子で、2人が「大丈夫ですか」と声をかけると、「頭が痛い」とかすれた声で訴えた。2人は電車が来ていないことを確認し、両肩を抱えるように女性を踏切の外に連れ出した。
増田さんは「細身の方で重くはなかったけど、どうやって運べばいいか悩んだ」といい、松村さんは「踏切を出て30秒ぐらいして電車が通り過ぎたと思う」と振り返った。
近くを通りがかった人たちが通報するなどして警察官らが現場に到着し、女性は救急搬送された。女性は80代で腰の骨を折る重傷を負っていたが、命に別条はなかったという。
小学校時代からの友人という2人は、高校入学後に同じバレー部に入った。センターの増田さんとリベロの松村さんは、普段から連係を意識して練習しているといい、「そんなにすごいことしてないのに(賞を)もらっても良いのかな」と謙遜していた。