たくさんの細胞の中から将来特定の働きをするようになる細胞を、変化する前に目印をつけた複製を作っておくことで、後からスムーズに見つけだす技術を開発したと、大阪大などのチームが8日までに英科学誌に発表した。特定の性質を示す細胞の過去をいわば“さかのぼる”ことができるといい、再生医療やがん研究など幅広い応用が期待されるという。

 細胞を調べるには壊して中身を分析する手法が一般的だ。だがこの方法では細胞ががんなど特定の特徴を持つように変化した後に、元々の状態がどうだったかを調べることはできなかった。

 チームは、細胞一つ一つに「DNAバーコード」と呼ばれる識別タグをつけた上で、複製を複数培養。一つは凍結保存し、もう一方を実験に使う。特定の性質を示す細胞を見つけた場合、バーコードを手がかりに保存細胞を取り出せば、疑似的に過去にさかのぼって調べることができる。

 細胞を探す際には、バーコードとともに付与した蛍光タンパク質を利用。バーコードを手がかりに蛍光タンパク質を光らせて、より正確に細胞を取り出せるという。