自殺しようとしていた高齢男性を助けたとして豊岡署は25日、兵庫県豊岡市の自営業、池畑和男さん(54)と兵庫県養父市のパート、川上久美子さん(35)に県の善行表彰「のじぎく賞」を伝達した。2人は男性を保護し、110番して同署員に引き渡した。
10月17日午後8時ごろ、豊岡市内の観光地に写真撮影で訪れていた池畑さんは、川に向かって座り込む男性に違和感を覚えた。
携帯電話でも落としたかと近づいてのぞき込むと、男性は川沿いの柵にくくり付けたショルダーバッグのひもを首に絡め、3メートルほど下を流れる川に飛び込みそうだったという。
池畑さんに気づいた男性は「ああ、見つかった」と話し、首に巻いたひもを外した。池畑さんは「何しようとしとったん」などと声をかけながら、近くを通りがかった川上さんに110番を依頼した。
川上さんは家族と観光で近くを訪れ、1人で車に忘れ物を取りに来ていた。男性の存在には気づいていたが、あたりは暗く「怖い人だったら…」と声をかけられなかったという。
110番した後、警察官が到着するまで約10分間、男性に寄り添い話を聞いた。病気のことなど身の上話を聞くうち、川上さんの目には涙が浮かんだという。
川上さんは「私一人だったら声をかけられず、止められなかった」と話し、池畑さんも「親身に話を聞けたのは川上さんだったから。男性が死んでいたかもしれず、声をかけて良かった」と振り返った。(大高 碧)
























