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 8日投開票の衆院選は折り返しを過ぎた。兵庫7区(西宮市南部、芦屋市)では5人が立候補し、終盤に向けて舌戦を繰り広げる。政権の枠組みが変わり、新党が結成され、構図も様変わりした。戦いの現場を追う。(堀内達成、末永陽子、潮海陽香)

 「大学の後輩であり、一緒に頑張ってきた仲間。大事な仕事をしてもらっている」。先月29日、西宮市内のホテルでマイクを握った高市早苗首相は、市民らを前に自民党前職の山田賢司氏(59)を持ち上げた。

 首相は常々唱えてきた積極財政に触れて聴衆に支持を求め、山田氏は「高市先生の政策と私の政策はもろかぶり」と一体感をアピールした。

 会場は熱気に包まれた。詰めかけた市民らは約1200人(主催者発表)。入れない人のため、中継映像を流す別室も用意されたが、800人ほどが入れずに立ち去ったという。

 前回衆院選でも、石破茂氏に総裁選で敗れた直後の高市首相に応援を求めたが、同じ会場で集まったのは350人ほどだった。陣営はその人気に驚く。

 追い風を感じる一方、不安もある。連立解消によって離れる公明党票の行方だ。公明が7区で前回獲得した比例票は約2万票。山田氏の陣営幹部は「本当に公明票が動いたらかなり厳しい」とみる。勢いのある参政党の候補擁立も「保守票が削られる」と警戒する。

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 与党対決を繰り広げる日本維新の会前職の三木圭恵氏(59)は、自民との違いを出すことに腐心する。「維新が与党に入ったから改革が進んだ」と訴え、政権でのアクセル役を強調している。

 三木氏は先月31日、西宮市内で開いた会合でガソリン税の暫定税率廃止などの実績を挙げ、「自民だけでは古い政治に戻ってしまう」と声を張り上げた。衆院議員定数の削減や政府の支出の無駄を省く「政府効率化局」の設置などの改革路線を前面に出す。

 一方で、自民との距離感にも神経をとがらせる。演説では「高市政権を支えている」「総理と価値観を共有する」と主張し、高市人気にあやかりたい思惑も透ける。

 前回選は県知事選の混乱を巡る党の対応で逆風を受けた。今回は与党入りしたものの、その効果は未知数で、陣営は「どこまでプラスになるのか、票が読めない」と危機感を募らせる。

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 解散直前に結成された中道改革連合前職の岡田悟氏(42)は「攻勢」に出る。公示日の出陣式には、立憲民主党と公明の地方議員らが駆けつけ、関係者が顔合わせをする場面もあった。事務所には双方の議員らが出入りし、選挙戦を切り盛りする。

 立民出身の岡田氏は、公明の支持者にも向け、「右でも左でもない真ん中の政治で、物価高や人手不足に取り組む」と新党をアピール。街頭では公明支持者らが集まり、「(両党は)もともと政策が近い部分もあったので、違和感はない。頑張ってもらいたい」(70代女性)と声援を送る。

 前回は比例復活したが、今回は小選挙区から撤退した公明が比例で優先され、復活当選のハードルは高い。小選挙区での勝利が至上命令となる。

 陣営は公明票の上積みを期待しつつ、突然の解散で「ばたばたで票読みする時間もない」とうめく。支援する公明関係者は「中道の名前だけでなく、政策を浸透させて支持を広げなければ」と組織固めを急ぐ。

 街頭演説や個人演説会を重ねる共産党新人の平野貞雄氏(69)は「平和が脅かされている」と平和の重要性を訴えた。若者の賃金増加などを訴える参政新人の酒井遼氏(25)は先月31日、神谷宗幣代表と宝塚市で並び、「投票して若者の意思を示してほしい」と呼びかけた。

兵庫県内の立候補者一覧