8日投開票の衆院選。兵庫9区(明石、洲本、南あわじ、淡路市)では、高市政権の評価や物価高対策などを巡り、4候補が舌戦を繰り広げている。明石の有権者が政治に望むことは何か。4人の市民に聞いた。
■困窮者の生活を想像して 子ども・家庭支援団体代表理事・小谷公仁子さん(55)
困窮した子育て世帯の支援で、食料品を届けたり無料配布会を開いたりしている。物価高はもう節約で対応できるレベルではなくなっている。栄養バランスにまで気を配る余裕がなくなったという声を聞く。
ある程度暮らせていた中間層が貧困層に落ちてきて、誰もがいつ落ちるか分からない状況。社会保障費の増大を止めるためにも抜本的な手を打つ必要がある。
複合的な課題を抱える住民を地域で支える事業の交付金が、来年度から大幅に減らされると報道で知った。ひとり親や不登校に発達障害、介護など、一つの家庭に多くの問題があるのに本当にショックを受けた。
政治はどこを向いているのか。雲の上で何かやっているみたいで、「こっちを見て」とすごく思う。しんどい子どもたちや弱い立場の人たちを想像できる候補者はいるのか、見極めたい。(聞き手・森 信弘)
■技術力向上に向け議論を 明石高専電気情報工学科5年・村谷一真さん(19)
18歳になって以降、すべての選挙で投票している。明石高専の友人とは、投票日の直前に政党の情報を持ち寄って話をしてきた。
ただ、頻繁に選挙ばかりしていては公約が実行できない。先日、党首討論を見たが、固まっていない政策を国民に示されても意味がないと思ってしまった。
いま将来を考えると、社会保障などで不安は大きい。食料品の消費税を恒久的にゼロにすると、他から税金をとる必要があるのではないか。老後資金のために自分で投資をしないといけないのも変だなと思う。
自身はロボットエンジニアを目指しているが、今のままでは優秀な人材は外国に流れてしまうと思う。どうしたら技術力を向上させ、技術者を養成できるか、という議論は聞いてみたい。長期的な視点で日本の将来を考えてくれる政党や候補者を選びたい。(聞き手・森 信弘)
■農家の自立を後押しして 自然農を実践・武内郁子さん(51)
明石市大久保町松陰で、土を耕さない自然農での米作りに取り組み、周辺農家が合同で農作物を直売する朝市を開いている。
今の農業は、専業ではサラリーマンの平均的な年収に到底届かない。明石は特に農地が狭く、広げたくても限界がある。みんなの食を支えているのに、農業一本では生活が苦しく、多くが兼業。高齢化で後継者不足が課題だが、「子どもには継がせたくない」との思いもあるようだ。
このままでは後継者や新規就農者も減り、食料自給率はさらに落ちてしまう。一時的な補助金ではあまり意味がない。農業だけでも自立でき、安定した生活ができるような根本的な仕組みが必要だ。
選挙ではなかなか1次産業に焦点が当たりにくいが、本当に地域のことをなんとかしようと考えてくれている人に希望を持ちたい。(聞き手・赤松沙和)
■若者が希望持てる社会に 居酒屋店オーナー・飯田健二さん(54)
高校卒業後に料理人になり、35年以上腕をふるってきた。店長として働いていた店を9年前に買い取り、現在はオーナーを務める。
飲食店の経営で一番大変なのが人手不足だ。求人をかけてもなかなか人が来ず、来てくれても長続きしない。飲食業に魅力を感じる若者が昔に比べて減り、将来的な独立への不安が原因で断念する人が多い。
物価高もやっぱりつらい。食材の仕入れ値は少し前と比べてもぐっと上がっている。多少の値上げは仕方ないが、お客さんのことを思ったらサービスの質は絶対に落としたくない。
今回は消費税減税が争点の一つだが、個人的には社会保険料を引き下げてほしい。まとまった固定費が下がる方が手取りが増え、従業員のためにもなる。飲食業界で働く若者が将来に希望を持てる社会を願い、一票を投じたい。(聞き手・新田欧介)



















