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おでんの具材に直接、ショウガじょうゆをかけて提供するのが、澤田店のスタイル=姫路市白浜町
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おでんの具材に直接、ショウガじょうゆをかけて提供するのが、澤田店のスタイル=姫路市白浜町
食べ頃の具材と黒いだしであふれそうなおでん鍋=姫路市白浜町、澤田店
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食べ頃の具材と黒いだしであふれそうなおでん鍋=姫路市白浜町、澤田店
自家製のショウガじょうゆ=姫路市白浜町、澤田店
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自家製のショウガじょうゆ=姫路市白浜町、澤田店
姫路おでんのルーツを話す前川裕司会長=姫路市呉服町
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姫路おでんのルーツを話す前川裕司会長=姫路市呉服町
ショウガを使ったオリジナル商品を手にする八木有加さん=姫路市東延末1
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ショウガを使ったオリジナル商品を手にする八木有加さん=姫路市東延末1

 きょう2月22日は「おでんの日」。ショウガじょうゆで食べるご当地グルメ「姫路おでん」は、ショウガのほどよい香りが口に広がり、とりわけ寒い季節は箸が進む。今では全国的な知名度も高く、観光客に人気だが、もともとは兵庫・姫路固有の食習慣だったという。姫路に転勤して約半年の記者(23)が、ショウガ文化のルーツや広がりを求めて、市内のお店を食べ歩いた。

 まず訪ねたのは、姫路おでん普及委員会。ショウガじょうゆを使った食べ方を全国へ発信してきた団体だ。旗振り役を務める前川裕司会長(67)にルーツを聞いてみた。

 前川さんによると、姫路にショウガ栽培が伝わったのは、江戸末期から明治時代。水はけの良い土地が栽培に適していたため、昭和30年ごろには生産量が年30~40トンになるなど、地元でも栽培が活発に行われたという。

 同じ頃、播磨ではしょうゆの生産も盛んだった。姫路の浜手地域の家庭を中心に、ショウガと合わせることで、煮込み料理をおいしく食べる方法として広まったようだ。「城下町だった姫路は住民の出入りが激しく、新しいものを柔軟に取り入れる風土があったのかもしれない」と前川さんは分析する。

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 ショウガじょうゆを使う食習慣は、浜手地域の家庭で始まったとみられるが、おでんと組み合わせた「姫路おでん」の誕生はいつ頃なのか。山陽電鉄白浜の宮駅南にある「澤田店」(同市白浜町)が古くから姫路おでんを出していると聞き、店を訪ねた。

 「創業昭和二十一年」と記されたのれんをくぐると、ふわっと甘いだしの香りに包まれる。同店は先代の故・澤田常吉さんときぬえさん夫婦が創業。現在は2代目の孝一さん(82)と典子さん(81)夫婦と次女の久美さん(49)が切り盛りする。

 六つに仕切られたおでん鍋が、店の真ん中で存在感を放つ。なみなみと鍋を満たす真っ黒なだしは、創業以来継ぎ足しでつくってきたという。だしのベースは牛すじをゆでた後のゆで汁のみ。練り物など具材のうまみで黒くなり、こくが出るという。

 具材はすじ、ひら天、ごぼ天、こんにゃく、ちくわ、厚あげの6種。定番の大根やじゃがいもは崩れるとだしが濁ってしまうため入れない。「常連さんはうどんにおでんのだしを入れてって言うぐらいだしが人気」と典子さん。

 注文すると具材を器に盛り、たっぷりと自家製のショウガじょうゆをかけてくれる。市内の醸造所の濃い口しょうゆに土生姜をすって作っているそうだ。

 いつ頃からおでんをショウガじょうゆで食べるようになったのか。「それはわからんなあ。昔からこれが当たり前やから」。典子さんは豪快に笑った。

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 浜手地域以外では、おでんの食べ方に違いがあるのか。市内の店を巡り、食べ比べてみた。

 JR姫路駅北にある店は、おでんとは別の器でショウガじょうゆを提供。澤田店と違って、客が好みで付けて食べるスタイルだ。観光客はショウガじょうゆで食べる割合が高いが「姫路の人やから必ずショウガじょうゆを付けるわけでもない。からしが好きな人もいる」と店主は言う。

 一方、同じ駅北にはショウガじょうゆを出さない店もあった。「昆布とかつおで取った自慢のだしが台無しになる」というのが理由だった。

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■ジンジャーエールにケーキ…多彩に活用、専門店も

 ショウガを使った名物は姫路おでんだけではない。JR姫路駅南の「ヒメジンジャー姫路駅南店」(姫路市東延末1)はショウガを使ったケーキ、ミルクプリン、自家製ジンジャーエールなど約10種類の商品を提供する。

 オーナーの八木有加さん(38)が2018年に開店。知人が作ったジンジャーケーキを食べたことがきっかけでショウガのとりこになった。かつては姫路の妻鹿、白浜など浜手地域で盛んだったショウガ栽培。安い海外産に押されて生産が激減したことを知り、ショウガで姫路を盛り上げたいと店を構えた。

 店名は、「姫路」とショウガを表す英語「ジンジャー」を組み合わせた。自然な辛みが姫路ショウガの特徴といい、看板商品のジンジャーケーキには、すりおろしたショウガをふんだんに使用。口に入れると、やさしいショウガの香りが口いっぱいに広がる。

 近年は、ショウガ栽培に取り組む人も増え始めたというが、八木さんは「姫路産ショウガの流通量は、まだ少ない。店だけでなく、学校での栽培にも取り組んで姫路のショウガ文化を若い世代にも伝えたい」と意気込む。同店TEL090・3490・0431

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