姫路市出身で戦後文学を代表する作家、椎名麟三(1911~73年)が多感な少年期を過ごした同市書写の旧宅が解体された。建物は老朽化が激しく、長らく土地所有者が解体を検討していた。3年前には、椎名を顕彰する団体もメンバーの高齢化で解散。今年はちょうど椎名の没後50年だが、作品に多大な影響を及ぼしたとされる家屋が、ひっそりと終わりを迎えた。(森下陽介)
椎名は旧制姫路中学校(現姫路西高)中退後、料理人見習いや飲食店の出前持ちなど職を転々とした。1929年、宇治川電気(現山陽電鉄)に入社すると、非合法の労働運動で投獄を経験。出所後に「深夜の酒宴」で文壇デビューし、「自由の彼方で」や「美しい女」など数多くの名作を残した。
























