播磨の秋祭りシーズンが本格化し、町の熱気は日に日に高まっている。ハレの日を彩るのは、勇壮な屋台練りや荘厳な獅子舞だけではない。祭りの前、そして当日に振る舞われる特別な食事もその一つだ。数々の伝統の味から、氏子の無事を願う「祝い膳」と旬のごちそう「コノシロずし」を紹介する。(真鍋 愛)
レンコダイ、サトイモとワラビの煮物、赤飯…。海の幸、山の幸に野の幸の縁起物が次々と盆に載る。「灘のけんか祭り」で知られる松原八幡神社(姫路市白浜町)の氏子宅では、祭り本番の10月14、15日を間近に控えた同1日、祝い膳を食べて氏子の安全を祈る。
旧灘七カ村(地区)の中でも、祝い膳の風習が残る家はわずか。中村地区の土師継士さん(73)宅では妻の隆美さん(70)が義母の味を継ぎ、約40年前から祝い膳を作っている。