焼きうどんと焼きそばをミックスした姫路のご当地グルメ「ちゃんぽん焼き」を、播磨地域で「ボンマルシェ」などスーパー13店舗を展開する「銀ビルストアー」(兵庫県姫路市南町)が昨年6月、総菜として売り出した。総菜コーナーでは一番の売り上げが続き、総菜の全国コンテストでも入選。新商品には社員の播州愛が込められている。(金 慶順)
■焼きそば+焼きうどん、2対1が黄金比
「姫路名物 播州愛炸裂(さくれつ) ちゃんぽん焼き」。総菜コーナーにひときわ存在感のあるのぼりが立つ。9月下旬のある平日の午前、ボンマルシェ姫路店(同市南町)の売り場を眺めていると、10分弱で老若男女3人が手に取ってレジに向かった。「昔からよう食べてるからね。そばとうどんの食感が違って面白い」。近所の女性(72)が話す。
ちゃんぽん焼きは、太さの異なるうどんと中華麺を一緒に炒めた料理で、由来は不明だが、古くから姫路市などで食べられている。十数年前、テレビ番組で姫路のご当地グルメとして紹介されて注目を集めた。現在でも市内のお好み焼き店などにメニューが並ぶが、スーパーの総菜としては珍しいという。
銀ビルストアーは昨年4月に商品開発部を発足。市内で生まれ育った小西健一執行役員(57)が「地元の素材で地元らしい商品を作りたい」と考え、「子どものころから当たり前に食べていた」というちゃんぽん焼きを提案した。
麺やソースは地元メーカー産を使う。そばとうどんの割合は2対1で「つるっと食べやすい黄金比。キャベツと豚肉、お好みソースにもよく絡む」と小西さん。社長らが商品化の可否を決める社内審査会では、全員が「合格」の札を上げた。税抜き299円で値段もお手ごろだ。透明パックに詰めて輪ゴムで閉じる簡素な包装は「駄菓子屋のおばちゃんが鉄板で焼いて詰めてくれた」という記憶をイメージしている。
全国スーパーマーケット協会の「お弁当・お総菜大賞2025」では見事入選。小西さんは「姫路名物を全国に知らせたい」と意気込むと同時に、姫路の人に対しては「懐かしんだり、『これって姫路名物やったんや』と驚いたりしてもらえたら」と願う。「今後も地元らしい新商品を売り出したい」と話した。
今年はおにぎり、たこ焼きとのセットやダブルサイズなどの商品も展開。ボンマルシェ、プチマルシェの全13店舗で販売している。