18番ホールでラインを読む鮓井伸和さん=2015年6月、青野運動公苑アオノゴルフコース
18番ホールでラインを読む鮓井伸和さん=2015年6月、青野運動公苑アオノゴルフコース

 今年の正月。石川県輪島市で輪島塗箸(ぬりばし)を製造販売する「鮓井(すしい)商店」4代目の鮓井伸和さん(41)は、家族5人で福崎町にある妻知恵さん(37)の実家にいた。

 元日には世界文化遺産・姫路城を訪れ、三の丸広場で家族写真を撮った。能登半島地震が起きたのはわずか約1時間後。その後、輪島塗箸の再建を目指して支援金を募るクラウドファンディングに踏み切り、姫路城での写真を掲載することになるとは夢にも思わなかった。

 鮓井さんは子どもの頃、輪島塗箸の工房に漂う漆器独特のにおいが苦手だった。気持ちが悪くなることもあり、作業中には近寄らないようにしていた。