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税関の施設だった横浜赤レンガ倉庫。現在は観光スポットになっている=横浜市中区((c)横浜観光情報)
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税関の施設だった横浜赤レンガ倉庫。現在は観光スポットになっている=横浜市中区((c)横浜観光情報)
帆船や客船などが停泊する神戸港。港町らしい光景だ=神戸市中央区(2022年4月)
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帆船や客船などが停泊する神戸港。港町らしい光景だ=神戸市中央区(2022年4月)

 電柱のない美しい景観、レトロな建物、立ち並ぶ高級ブランド店-。神戸の旧居留地は名実共に港都を代表する場所になっている。

 しかし、同じ港町の横浜では「『居留地』は死語になっています。関東大震災後、その言葉を見たことがない」(横浜外国人居留地研究会の斎藤多喜夫会長)というのが実態だ。

 斎藤さんによると、背景にあるのは震災による壊滅的な被害。「この災害で、横浜居留地の歴史は断絶された」という。ただ、ほぼ同時期の19世紀半ばに開港した神戸、横浜両市は150年以上を経てもなお港町のイメージを色濃く残す。

 「両市とも貿易の拠点として日本の経済発展に寄与してきました。しかし、1990年代以降、地位が下がっているのも確かです」

 そう話すのは神戸と横浜の歴史に詳しい二松学舎(にしょうがくしゃ)大学教授の堀野正人さんだ。

 堀野さんは西洋文化の窓口という点でも両市の果たした役割は大きいとしながら、「流入した西洋文化は既に国内の隅々まで行き渡っています。現在という切り口で見ると、国際港湾都市としての実体や特徴は薄れている」と指摘する。

 では、港町というイメージを支えているものは何だろう。

 昔と変わらず海は近い。しかし今は、かつてのように荷役の作業を目にすることも、遠方への交通手段として船が1番に選ばれることもほとんどなくなった。

 「イメージとしての港町は、主に観光の領域で持続しています。また、中華街(南京町)の存在も異文化を想起させるという点では大きいですね」

 確かに、神戸は豪華客船が来港すればニュースになったり、人々が見学したりする。湾内クルーズ船で海から街を眺めるツアーも人気だ。横浜でも港の産業遺産を活用した観光事業には多くの人が集まるという。

 居留地への捉え方は全く異なる両市だが、港町としての血統は脈々と受け継がれている。(安福直剛)

=随時掲載=

【バックナンバー】
(7)横浜と神戸 互いを参考に近代化
(6)南京町市場 朝ドラ機に観光地に
(5)南京町コミュニティーの形成 貿易、中国人が仲介役
(4)「雑居地」の設定 「日本初」次々と発祥
(3)海軍操練所跡の碑 開港後は英国領事館に
(2)店のネーミング 「○番」-区画の名残
(1)150年変わらぬ町割り 道の名が日本の縮図

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