慶応大学の卒業生でつくる「神戸慶應倶楽部」が今年で創立100周年を迎え、中央区港島中町6の神戸ポートピアホテルで5日、記念祝賀会が催された。各界で活躍する会員や他地域の卒業生など約230人が交流。パネル討議では慶応義塾創設者の福沢諭吉と神戸との関係について、興味深いエピソードが披露された。(安福直剛)
慶大出身者は、卒業年度や職種、地域などに分かれて「三田会」と呼ばれる組織を結成し、世界各地に886団体ある。同倶楽部もその一つで、1923(大正12)年9月につくられ、神戸在住・在勤者を中心に約300人が所属する。
式典は、慶大卒業生で歌舞伎俳優の市川右團次さんの祝舞で幕が開け、出席者が塾歌(校歌)を斉唱。同倶楽部の木村健会長は「地方から慶応への進学者が減っていると聞く。さまざまな地域の人たちの交流が重要で、われわれは大きな役割を担っている」と力強く語った。神戸生まれの伊藤公平塾長も登壇し、大学の現状などを説明した。
パネル討議では、福沢諭吉が現在のトアロード周辺に土地を複数所有していたというエピソードが明かされた。近代化が進む日本の中で、陸海の要衝として神戸の発展を見込んでいた可能性があるといい、研究者は「神戸と福沢諭吉は意外と接点が多い」と話した。
ライバルとして知られる早稲田大学からは、同大学校友会兵庫県支部長で、神戸新聞社の高梨柳太郎社長らも来賓として出席した。