昭和8(1933)年10月1日開業のそごう神戸店= 昭和10(1935)年12月撮影(神戸市文書館提供)

 現代都市の青春、それは1920~30年代に花開く。評論家の海野弘は20世紀に入り、経済成長、交通や通信の発達で世界が同時代的に共鳴するようになったと説く。その現れがモダニズムだ。この新しい潮流は海港都市・神戸にも及んだ。

 モダン都市のシンボルの一つが百貨店だ。昭和恐慌の苦境を打開しようと各社は積極的な戦略に打って出る。目抜きの一等地に高層ビルを建設。エレベーター、デパートガール、大食堂、屋上遊園地、先端をゆく品ぞろえ…。新しもの好きの大衆は目を見張り、押し寄せた。

 大正末期、元町通6丁目に誕生した元町デパートは経営難に陥り、26(大正15)年、近代的百貨店の雄、三越呉服店(現三越)が大阪支店神戸分店として引き継いだ。翌27(昭和2)年には大丸呉服店(現大丸)が三宮神社前に進出。地下1階、地上7階建て。「居留地の一角に/聳(そび)え立つ層閣/けふ大丸の店びらき」(同年4月5日付神戸新聞)。元町商店街の東西にできた二大デパートの競演は折からの恐慌を吹き飛ばすような新しい消費社会を生み出した。