新築分譲マンションの価格が高騰しています。不動産経済研究所(東京)によると、東京23区の2023年の平均価格は、初の1億円超えとなる1億1483万円に。兵庫県でも5千万円を超えました。誰が買っているのか。いつまで上がるのか。買い時はいつか。「LIFULL HOME’S総研」チーフアナリストの中山登志朗さんに聞きました。(聞き手・斉藤正志)

立ち並ぶマンション群=神戸市東灘区

 ■買えるのは

 -いったいどんな人が「億ション」を買っているのでしょうか。

 「近年の株高によって資産を得た富裕層がいます。安定的な資産に付け替える際に、マンションを購入しています。世帯年収2千万円を超えるような共働きの『パワーカップル』も買い求めています」

 「円安によるインバウンド(訪日外国人)の需要もあります。日本のタワーマンションの品質が極めて高いことや、自国と比べて安いことから、中国、台湾、シンガポールなどの富裕層が、セカンドハウスや投資物件として購入しています」

 ■いつまで続くのか

 -今後も新築マンションの価格高騰は続くのでしょうか。

 「青天井ではなく、限度はあります。ただ、緩やかに上昇していく可能性は高いと思っています。超低金利で、住宅ローン減税の制度があることなどから、長期のローンを組んで安定的に資産形成したいというニーズは落ちません」

新築分譲マンション価格などについて語る「LIFULL HOME’S 総研」の中山登志朗チーフアナリスト

 ■中古マンションも

 -中古のマンション価格も上がっているのですか。

 「上がっています。新築の価格が上がれば、その地域にある中古も強気の価格を付けてくる傾向にあります。全国的には横ばいのところもありますが、新築ほどではなくとも、緩やかに上がっています」

 ■買い時はいつ

 「物件価格はまだ上がる方向にあります。頭金があり、今のうちに買っておかないと金利が上がりそうだと思うなら、高騰しているこの状況でも、あえて買うべきだと思います。頭金がたまるまで待っていると、さらに価格が上がる可能性があります。買い時は、ほしいと思った時がタイミングです」

     ◇

 不動産アナリストの中山登志朗さんに聞いたQ&Aでは、マンション価格高騰のメカニズムや今後の動向、買い時の判断などについても教えてもらいました。

新築マンション価格高騰〈1〉背景に「トリプル高」 需要が落ちない最大の要因は 不動産アナリストに聞く

新築マンション価格高騰〈2〉価格上昇いつまで続くのか 需要支える富裕層と「パワーカップル」 不動産アナリストに聞く

新築マンション価格高騰〈3〉大阪、兵庫の状況は? 東京はファミリー層が流出 不動産アナリストに聞く

新築マンション価格高騰〈4〉買い時はいつ? ローンの金利は変動か、固定か 不動産アナリストに聞く

 中山登志朗(なかやま・としあき) 神奈川県出身。出版社を経て、1998年から不動産調査会社で不動産マーケット分析などを担当。2014年に「LIFULL HOME’S総研」副所長、チーフアナリストに就任。国土交通省、経済産業省、東京都の審議会委員などを歴任する。