三田で起きた一揆の記念碑を建てた中畑八郎さん(左から1人目)、大沢辰美さん(同3人目)ら=三田市下田中
三田で起きた一揆の記念碑を建てた中畑八郎さん(左から1人目)、大沢辰美さん(同3人目)ら=三田市下田中

 1869(明治2)年に三田で起きた百姓一揆を後世に伝えようと、市民有志が活動を続けている。首謀者は処刑され、地域ではタブーのように扱われてきたが、遺恨は澱(おり)のように人々の心にたまり受け継がれてきた。だが150年以上が過ぎた今、それすらも消えかかっている。「なかったことにしてはならない」。一揆の記念碑を建立し、歴史を知る手がかりとなるホームページを開設した。(土井秀人)

■「今も恨みに」忠告に驚き

 「大変な時代を生き抜いた先人たちの歴史を後世に伝え すべての人びとが立場を超えて尊重される社会を顕現するため…」

 神明神社(下田中)境内にある碑には、こう刻まれている。舞台演出家の中畑八郎さん(80)=中央町=らでつくる「記念碑を建てる会」が寄付を募り、2022年11月に建立した。

 中畑さんが一揆を知るきっかけは10年、三田藩の蘭学者・川本幸民の生涯を描いた演劇を手がけたことだった。市民俳優を募集する新聞記事を見た知人に「幸民の芝居はええけど、小寺泰次郎と白洲退蔵をええように書いたらあかんで。今でも恨みに思うてる人があるさかいな」と忠告された。小寺を郷土の偉人と思っていた中畑さんは驚いた。