みなさんは、地域の山や川、市街地の森や草地が「昔どんな姿だったか」を知りたいとき、どう調べますか?
多くの方はまず、写真を探すのではないでしょうか。比較的新しい時代なら、8ミリフィルムやビデオ映像、写真のない時代までさかのぼるなら、古文書の図や絵を調べるかもしれません。
これらは、当時の風景やおおよその広がり、緑の茂り具合、目立つ植物の種類などを教えてくれる貴重な資料です。しかし、「森の正確な高さ」や「どんな種類の植物がどれくらい生えていたか」といった詳しい情報までは分かりません。こうした植物の詳細なデータを記録したものが、「植生調査資料」です。
植生調査資料は、昭和初期に日本へ導入された「植物社会学」という学問の調査方法によって得られます。第2次世界大戦後は、日本各地で植生についての研究や、国の環境調査(自然環境基礎調査、河川水辺の国勢調査など)、開発に伴う環境アセスメント(影響評価)が盛んに行われてきたため、国内には膨大な資料が残されていると推測されています。
ここで「推測されている」と書いたのには理由があります。実は、多くの資料が研究者や調査会社の元に個別に保管されたままで、社会全体でまとめて整理・保存されていないため、全体像が把握できていないのです。
このような状況を改善し、より詳しい昔の自然の姿を未来へ伝えるために、人と自然の博物館では、これらの植生調査資料の収集とデジタル化を進め、ウェブ上で誰もが閲覧できるデータベースとして公開を始めています(当館ホームページ「ひとはく植生資料データベース」=QRコード=から、どなたでもアクセスできます)。
国の研究機関などでも同様の取り組みはありますが、埋もれている資料の量に比べると、公開されているものはごく一部に過ぎません。今後も資料の価値を発信し、貴重な記録を後世に残す取り組みへの協力を呼びかけていきたいと考えています。























