いきいき百歳体操で体を動かす参加者たち=佐用町豊福、江川地区文化センター
いきいき百歳体操で体を動かす参加者たち=佐用町豊福、江川地区文化センター

 佐用町で今年4月、地域住民が運営するデイサービス事業が続々と立ち上がった。江川地区では、住民らでつくる「江川地域づくり協議会」が、江川地区文化センター(同町豊福)を拠点に事業を開始。高齢者や要支援者を対象に体操を指導したり、カフェを開いたりしている。住民らの介護予防につながることや、独居高齢者らの交流の場となることが期待されている。(村上晃宏)

 4月中旬、同センターでは、約40人の高齢者が筋肉を鍛える「いきいき百歳体操」に汗を流していた。リフレッシュした後は、コーヒーなどを飲みながら雑談に花を咲かせた。

 同協議会が住民を対象に始めたデイサービス事業「えがお」。毎週水曜日の午前中に約2時間、高齢者らを同センターで受け入れている。夫と通う久保美里さん(84)=同町豊福=は「体操をして体が動きやすくなった。同じ参加者からも元気をもらうので長生きできそう」とほほ笑む。

 町によると、同地区の人口は861人(2024年3月末時点)で、高齢化率は55・9%に上る。同協議会は在宅高齢者の自立支援や社会的孤立の解消が課題になると見越し、デイサービス事業を始めることにした。

 16年の介護保険法改正で、住民主体の介護予防や生活支援サービス事業の運営が可能になった。地域の施設を活用し、運動やレクリエーション、趣味活動を通じた居場所づくりなどを実施できる。

 佐用町は要支援者1、2の住民らが月1回、同事業に参加することを条件に、運営主体に補助金を交付。利用者が2人以上となった場合は加算金があるほか、利用者の公共交通料金の片道分を助成している。

 同町では江川地区のほか、大垣内、奥金近、太田井地区でも同様のデイサービス事業が始まった。町は高齢者の身体機能を高めることが、介護費用の抑制にもつながると期待する。

 同協議会の久保正彦センター長(66)は「在宅しながら健康的に長生きするのが望み。お年寄りらの笑顔が満開になる交流の場になれば」と意気込む。