南海トラフ地震の発生を想定し、南大津小学校まで避難の動きを実践した園児たち=姫路市大津区真砂町(専徳寺保育園提供)
南海トラフ地震の発生を想定し、南大津小学校まで避難の動きを実践した園児たち=姫路市大津区真砂町(専徳寺保育園提供)

被害想定への対策実施に差

 認知症の高齢者が職員に付き添われ、ゆっくりと階段を上がる。車いす利用者はエレベーターで2階へ移動した。70~90代の18人が入所する「グループホームソラストそよか姫路」(姫路市大津区勘兵衛町1)。昨年4月、南海トラフ地震に備えた垂直避難の訓練が初めて実施された。

 「100点の訓練ではなかった」と、管理者の三浦陽介さん(38)は振り返る。同施設は津波の浸水想定域にある。地震で停電すればエレベーターは止まり、車いす利用者は職員が抱えて避難するしかない。だが、それは実践しなかった。

 「普段の安全な介護と正反対の動きに怖さがあった。どの程度まで想定して訓練すればいいのか…」。三浦さんの不安は尽きない。