兵庫県議会の議場=2019年6月19日、神戸市中央区下山手通5
兵庫県議会の議場=2019年6月19日、神戸市中央区下山手通5

 兵庫県道路公社が発注した工事を巡り、贈賄などの罪で元取締役が起訴された朝来市の総合建設業「松本組」が、県が発注した河川改修工事を落札し、逮捕直前に約4億1千万円で契約したことが17日、県議会の常任委員会で報告された。

 元取締役は9月30日に逮捕され、県は2日後の10月2日に同社を指名停止としたが、契約したのは9月21日だった。県は「法律上、さかのぼって契約を解除することはできない」と説明。議員側からは「理解はするが、県民感情としては複雑だ」との指摘が出た。

 県によると、西宮市内を流れる武庫川の流下能力を上げるための工事で、8月末に一般競争入札(電子入札)を実施。12事業者が参加し、最も安い価格を提示した松本組が落札した。

 常任委では、9月以降に結んだ契約案件の一つとして県側が報告。竹内英明議員(ひょうご県民連合)が「業者側から辞退の申し出はなかったのか」などとただしたのに対し、担当者は「辞退などの連絡はなく、県からも連絡はしていない」と答えた。

 事件では4人が逮捕、起訴された。元取締役は贈賄側の1人で、入札で便宜を図ってもらう見返りに同公社職員を接待するなどしたとされる。(田中陽一)