戦後間もない1948(昭和23)年11月、国宝姫路城(兵庫県姫路市本町)にあった野球場で、1日だけプロ野球の公式戦が催されたことをご存じだろうか。阪急対中日などの2試合に、地元出身の2選手も出場。球場は約1万3千人の観衆で熱気に包まれたという。書籍「球跡巡り」を昨年出版した日本野球機構(NPB)公式記録員の山本勉さん(59)の解説で、在りし日の光景を振り返る。(森下陽介)
試合はNPBの前身である日本野球連盟と姫路野球協会の共催。48年11月9日付の神戸新聞朝刊は「きょう姫路で熱戦」との見出しで告知記事を掲載し、「播州路における日本野球初の公式戦として期待」「好打、好守の美技を織り交ぜファンを沸かすことであろう」などと伝えている。
山本さんによると、街の中心部にある城周辺には当時、多くの野球場が建設された。同連盟は集客の観点から交通利便性が高いこれらの球場で積極的に試合を開催したという。