能登高校3年の橋本紗奈さん(中央)。関学大の学生たちに思いを語った=8月8日、石川県能登町宇出津新港3(撮影・長嶺麻子)
能登高校3年の橋本紗奈さん(中央)。関学大の学生たちに思いを語った=8月8日、石川県能登町宇出津新港3(撮影・長嶺麻子)

 〈地震直後の数分間が、毎日夢に出てくる〉〈何か分からんけど、とりあえず聞いてほしいんよ〉。能登半島地震で被災した高校3年生がつぶやく。耳を傾けるのは、トラウマ(心的外傷)について学ぶ関西学院大(西宮市)の学生たち。電話などでインタビューを重ね、この夏休みに被災地で対面した。必死で逃げたあの日のこと。亡くなった先生のこと。今を生きる17歳の声が、聞き手の胸に響く。(中島摩子)

 語るのは石川県立能登高校書道部の部長、橋本紗奈さん。自宅は能登町だが、元日は珠洲市三崎町の祖母宅にいた。そこへ、縦に横に下から突き上げるような激震が。

 〈もうこれ家つぶれるって思って、みんなして『出るぞ!』って。私が出た瞬間に玄関が崩れてきて、こけて。抱っこしてたネコが、走っていってしまった〉

 町には津波も押し寄せた。ネコは今も行方不明だ。