兵庫県のホームページでは、職員の公益通報制度について説明されている
兵庫県のホームページでは、職員の公益通報制度について説明されている

 兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などが文書で告発された問題を巡り、斎藤知事は失職し、出直し選挙に立候補する意向を示した。出直し選では、公益通報への対応の在り方も争点に上る可能性が高い。兵庫では2006年度からの18年で、計135件の内部通報があった。そのうち受理は約3割の42件にとどまり、事実確認して是正措置を講じたのは1割に満たない13件だった。県は不受理約7割という現状を問題視し、年内にも外部窓口を設置する準備を進めている。

 兵庫の公益通報は内部窓口のみで電話やファクス、メールなどで受け付けている。県政改革課によると、大半が匿名メールで具体的な不正行為が特定されず、調査できない場合も多いという。

 ただ匿名性を高く担保できる外部窓口がなく、通報者の探索を恐れて詳細な情報提供をためらうケースもあるとみられる。知事らの疑惑告発文書を関係者に配った元西播磨県民局長=死亡=は、後に公益通報窓口にも通報したが、公益通報者保護法の対象にならないとされ、懲戒処分を受けた。

 同課は「不受理としてきた通報には組織の自浄に必要な内容が含まれていたかもしれないという問題意識を持っている」と話し、県弁護士会と外部窓口の設置を協議しているという。

 18~23年度の大阪府の内部通報統計によると、内部窓口の府法務課は通報131件中82件(62・6%)を受理したのに対し、外部窓口の弁護士事務所は通報39件中28件(71・8%)を受理し、受理割合は10ポイント近く高かった。

 同じく外部窓口を置く神戸市でも、市長部局の内部通報統計(19~23年度)の受理は通報68件中46件(67・6%)に達している。