2024年度の新聞協会賞を受賞した社の記者らによる講演会が1日、横浜市中区のニュースパーク(日本新聞博物館)であった。連載企画「里へ 人と自然のものがたり」で受賞した神戸新聞社の取材班代表で映像写真部の小林良多記者は、民家の裏庭に現れたツキノワグマを撮影するまでの経緯などを語った。
「里へ」は22年4月~24年3月に連載。市街地や人里に出没する動物の姿を捉え、生態系に影響を与える人間の営みを問い直した。
小林記者は当初「クマは撮れない可能性が高く、うかつに手を出せない」と考えたが、試しに置いたセンサーカメラがわずかに姿を捉えたことが自信に。取り組み始めて2年目に、赤外線センサーを使った自作の自動撮影カメラで撮影に成功した。
裏庭に長期間カメラを置かせてくれた人らへの感謝を述べ、「新聞社への信頼がなければできなかった」と振り返った。「生き物と付き合う仕組みが日本ではまだ未熟。どうしていけばよいか、今後も携わっていきたい」と締めくくった。
他に受賞した「福祉事業会社『恵』の不正に関するスクープと、一連の報道」の中日新聞社、「京都アニメーション放火殺人事件連載企画『理由』と公判報道」の京都新聞社の記者らも講演した。(堀内達成)
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