執行猶予が付いた判決文の写し。裁判長は心身の疲弊や若さなどを考慮し「社会内で更生してください」と説いた
執行猶予が付いた判決文の写し。裁判長は心身の疲弊や若さなどを考慮し「社会内で更生してください」と説いた

■全てを背負い孤立、異例の判決

 事件から1年が迫る2020年9月18日、神戸地裁で判決公判が始まる。開廷の前から傍聴を待つ列ができ、法廷の空気は張り詰めていた。

 介護中の祖母を窒息死させた21歳の女性について、弁護側は「心神耗弱状態だった」としたが、検察は「責任能力はあった」として懲役4年を求刑していた。

 私は公判の傍聴をしていて、事件に至る彼女には大きく三つの転機があったと考えるようになっていた。