街の復興とともに歩んだ30年をかみしめ、ヴィッセル神戸を率いる吉田孝行監督=13日、神戸市西区、いぶきの森球技場
街の復興とともに歩んだ30年をかみしめ、ヴィッセル神戸を率いる吉田孝行監督=13日、神戸市西区、いぶきの森球技場

 阪神・淡路大震災が発生した1995年1月17日に、クラブ発足後の初練習を予定していたサッカーJリーグ1部(J1)のヴィッセル神戸。それから30年、街の復興とともに歩み、昨季はリーグ連覇と天皇杯全日本選手権制覇の2冠を飾った。高校時代に震災を経験し、かつて神戸の選手としても活躍した吉田孝行監督(47)=川西市出身=は「被災した神戸のチームとして、見る人が元気になってもらえるように日々頑張るだけ」と使命感を語る。(井川朋宏)

 滝川第二高3年生の冬だった。川西市の自宅を出る直前、洗顔中に大きな揺れに遭った。その後は学校に通えないまま、春にJリーガーとなった。勝負強いFWとして3クラブを渡り歩き、「神戸で現役生活を終えたい」と2008年、神戸に入団。10年のリーグ最終節にJ1残留に導く2ゴールを決めるなど、ファンの記憶に残る活躍を見せた。

 13年に引退後はクラブのアンバサダーに就任。15年に自ら呼びかけ、実現させたのが震災20年の慈善試合だ。「被災地支援や追悼の思いを新たに」との思いを込めた。三浦知良らOBや元日本代表選手らがノエビアスタジアム神戸(神戸市兵庫区)に集結。約2万4千人を沸かせた。