30年前の経験を原点に、AI技術を使った防災に挑む村上建治郎さん=神戸市中央区
30年前の経験を原点に、AI技術を使った防災に挑む村上建治郎さん=神戸市中央区

 人工知能(AI)を活用し、災害時に交流サイト(SNS)に投稿された情報を集め、可視化する民間サービスが全国の自治体で導入されつつある。その技術開発で最前線に立つIT企業「Spectee(スペクティ)」(東京都)の原点は、阪神・淡路大震災だった。代表取締役CEO(最高経営責任者)の村上建治郎さん(50)は被災体験を基に「災害で失われる命は、一人でも減らさなければならない」と新たな防災に挑んでいる。(高田康夫)

生き埋めの人々を救助

 30年前、村上さんは甲南大学1年生。神戸市東灘区の阪神深江駅近くの木造アパートは全壊した。深江地区は約半数の家屋が全半壊の被害を受け、近所の住民らと協力して生き埋めになった人々を救助した。実家がある東京には戻らず、災害ボランティアとして避難所だった本山第3小学校にとどまり、運営に携わった。