核兵器を搭載していない証明書の提出を外国艦船に求める「非核神戸方式」を採ってきた神戸港に24日、米軍の掃海艦が入港予定であることが、同港を管理する神戸市などへの取材で分かった。神戸市会が同方式を採択した1975年以降、米軍艦艇の神戸入港は初となる。市は米軍にも「非核証明書」の提出を求めているという。
市などによると、米掃海艦「ウォーリア」が24日午前9時、同市灘区の摩耶埠頭に入り、26日午後に出港する予定。17日に市に入港届が出され、米軍は乗員の休息や補給が寄港の目的としている。
市は米軍に非核神戸方式について説明し、理解を得たという。19日午後5時時点で、米軍からの非核証明書は提出されていないが、市担当者は「非核神戸方式を尊重し、入港前に証明書を出すように求めていく」としている。
市によると、決議以降に入港した外国軍の艦船は8カ国22隻。このうち、98年5月入港のカナダ軍補給艦をのぞく21隻が証明書を提出した。カナダ軍艦について、市が日本政府を通して核を積んでいないことを事前に確認できたため、神戸入港を許可したという。
米軍掃海艦の神戸港入港予定を受け、新社会党県本部と市民団体「憲法を生かす会・ひょうごネット」は19日、米軍に非核証明書の提出を求めるよう、神戸市の久元喜造市長に申し入れた。証明書を出さない場合は、入港を拒否することも合わせて要請した。
【非核神戸方式】日本が非核三原則を掲げる一方、米艦船による核持ち込み疑惑が持ち上がったことなどを背景に、神戸市会が1975年3月18日、核搭載艦船の入港を拒否する決議を全会一致で採択した。この決議以降、神戸港を管理する神戸市が入港する外国艦船に非核証明書の提出を求めてきた。今年で決議50年を迎え、これまでに米艦船は一隻も神戸に入港していない。