第三者委員会の調査報告書の受け止めについて、報道陣からの質問に答える斎藤元彦知事=26日午後、兵庫県庁(撮影・風斗雅博)
第三者委員会の調査報告書の受け止めについて、報道陣からの質問に答える斎藤元彦知事=26日午後、兵庫県庁(撮影・風斗雅博)

 兵庫県の告発文書問題で、県の対応が公益通報者保護法違反などと指摘した第三者調査委員会の調査報告書を受けて、斎藤元彦知事は26日に記者会見し「指摘は重く受け止めるが、適切に対応したという認識は変わらない」と述べ、従来通り違法性を否定した。一方、第三者委が認定した10項目のパワハラは初めて認め、「不快に思われた職員には改めておわび申し上げたい」と謝罪した。

 19日に提出された第三者委の報告書は、文書が公益通報に当たると認定。斎藤知事らが告発文書を把握後、作成者捜しをしたことなどを公益通報者保護法に照らして「違法」と結論付けた。「違反の可能性が高い」とした県議会調査特別委員会(百条委員会)の調査報告よりも厳しい判断で、文書の作成と配布を理由とした元西播磨県民局長への懲戒処分は「裁量権の乱用で無効」とも断じた。

 斎藤知事は26日の会見で「報告書は真摯に受け止める」と述べる一方、文書が公益通報に当たるとの指摘に反論。贈答品受領疑惑の記載などに「真実相当性がある」と判断されたことを疑問視し、「通報対象事実とそうでない部分が混在する場合、さまざまな意見がある。誹謗中傷性が高い文書だという認識は変わらない」とし、「当時の判断はやむを得ない適切な対応だった」との主張を繰り返した。

 元県民局長の懲戒処分の理由とした四つの非違行為は「三つは第三者委員会も『有効・適法』としている」と引用する一方、「違法・無効」とされた部分は「専門家でも意見が分かれる」と受け入れず、処分撤回は考えないとした。

 また「県政を前に進めるのが私の果たすべき責務。襟を正して仕事をしっかりしていく」として自身に対する処分なども否定した。

 報告書は、調査した斎藤知事のパワハラ疑惑16項目のうち、「机をたたいて叱責した」など10項目をパワハラと認定。斎藤知事はこれまで、職員らへの叱責は「業務上必要な範囲だった」と主張していたが、26日の会見では「私自身、よりよい県政運営を追求したいという高い要求水準があった」と釈明し、パワハラと認めて謝罪した。

 告発文書は斎藤知事らのパワハラや贈答品受領など、七つの疑惑が記された。斎藤知事は報告書について「六つは事実と認められないと判断された。実名を挙げられた職員や企業団体の名誉が回復されて良かった」とも語った。

【告発文書問題】兵庫県西播磨県民局長だった男性が2024年3月、斎藤元彦知事のパワハラ疑惑など7項目を挙げた告発文書を作り、関係者らに送付した。4月に県の公益通報窓口にも通報したが、県は通報者への不利益な扱いを禁じる公益通報者保護法の対象外と判断。内部調査で誹謗中傷文書と認定し、5月に停職3カ月の懲戒処分とした。これに対し調査の中立性を疑う声が出て、県は弁護士でつくる第三者委員会を設置。県議会も6月、調査特別委員会(百条委員会)を設けた。証言する予定だった男性は7月に死亡した。9月、県議会の不信任決議を受けて斎藤知事は失職したが、11月の知事選で再選された。

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