支援を続けた宮城県気仙沼市・只越地区の復興記念誌を手に語る野崎隆一さん=神戸市中央区
支援を続けた宮城県気仙沼市・只越地区の復興記念誌を手に語る野崎隆一さん=神戸市中央区

 NPO法人「神戸まちづくり研究所」(神戸市東灘区)理事の野崎隆一さん(81)は、発生から14年がたった東日本大震災の被災地・宮城県気仙沼市の只越(ただこし)地区に100回以上足を運んだ。住民と意見を交わし、将来の不安を聞いて助言を重ねた。このほど、高台移転を終えた地区の記録誌が完成。まちづくりのヒントにしてもらおうと、冊子を手に能登半島地震の被災地に通う。(上田勇紀)

■只越地区の高台移転にアドバイス

 只越地区は宮城県北部、唐桑半島の付け根に位置する。住民は商業のほか、カツオ船や遠洋漁業の乗組員などとして生計を立て、海とともに生きてきた。

 2011年3月の東日本大震災では、津波で115戸のうち39戸の家屋が流失。家を失った住民の多くは約3カ月にわたる避難所生活の後、仮設住宅に移った。高台に移転して自宅を再建するか、災害公営住宅に入るかなど、先行きの見えない今後の暮らしについて思い悩んでいた。