第2局で志田達哉八段に勝ち、対局を振り返る一力遼天元=21日午後、札幌市厚別区、ホテルエミシア札幌
第2局で志田達哉八段に勝ち、対局を振り返る一力遼天元=21日午後、札幌市厚別区、ホテルエミシア札幌

 囲碁の一力遼天元(28)=棋聖、名人、本因坊=に志田達哉八段(34)が挑む第51期天元戦(神戸新聞社主催)5番勝負の第2局が21日、札幌市厚別区のホテルエミシア札幌で打たれ、午後5時7分、一力が246手までで黒番2目半勝ちした。開幕から2連勝して、3連覇(通算4期獲得)まであと1勝とした。

 一力の先勝で迎えた本局。序盤は左上で定石通りの早い展開で進んだ。その後、積極的に攻めを仕掛ける一力に対し、志田が手堅く応じたが、徐々に一力が優勢を築いた。

 志田は局面を広げ、乱戦に持ち込もうと、白72(16六)、74(18七)と勝負手を放つ。一力は黒75(3七)、81(6十六)など効果的に攻め、主導権を握った。志田が粘り、上辺での競り合いなどで猛追したが、届かなかった。

 立会人の河野臨九段(44)は「未解決のままの弱い石が多く難しい展開だったが、天元がいい手を連発し、その充実ぶりが光った」と振り返った。

 持ち時間各3時間のうち、残り時間は両者ともに1分。第3局は11月9日、佐賀県唐津市の「おんくり唐津」で行われる。一力が3連勝で天元位を防衛して四冠を堅持するのか、プロ20年目にして七大タイトル初挑戦の志田が本シリーズで初勝利を挙げて意地を見せるのか、注目される。

 一力遼天元の話 黒21(5十)は試してみようと思っていた布石。黒155(15五)は誤算があり、一気に細かくしてしまった。156(13二)に打っていれば、余裕があった。残っていたのは運が良かった。簡単なミスで悔いが残る。

 志田達哉八段の話 黒61(3九)とハネられたあたりでは、打つ手がなくなって大変だと思っていた。白72(16六)はめちゃくちゃで、ぼろぼろになってしまった。終盤で黒5子を取り、得をしたと思ったが、結果的には足りなかった。