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 坂田記念ジャーナリズム振興財団(大阪市、赤木攻理事長)は17日、関西を拠点とする優れた報道活動を表彰する「第32回坂田記念ジャーナリズム賞」を発表した。新聞の部では、神戸新聞社の「阪神・淡路大震災30年報道」が選ばれた。

 6434人が亡くなった震災の発生から今年で30年。記憶の風化にあらがい、災害から命を守るための教訓をどう継承するか。本紙は「守れ いのちを 30th」を基調としたキャンペーン報道を昨春から本格化させた。

 現代社会の課題を通して災害を考察するシリーズのほか、30年前の出来事とその後の歩みをたどる「1995・1・17→2025」▽著名人が被災地への思いを語る「震災30年 語る」▽発生後の365日を写真で振り返る「震災ダイアリー」▽経済の視点から復興を読み解く「実相 被災地経済」▽カメラマンが町を歩く「たどる 人、まち」-などの連載を展開した。

 また、震災を知らない世代に記憶を伝える新サイト「1・17つなぐプロジェクト」を開設。学校などで活用されている。

 財団は授賞理由で「被災地の経験を多角的に後世へ伝え、教訓をいかしていこうとする地元紙としての強い使命感が全体を貫いている」と評価した。

 新聞の部では、ほかに毎日新聞社の「ダブルケア」を巡るキャンペーン報道が選ばれた。

 神戸新聞の受賞は2023年、神戸連続児童殺傷事件の記録廃棄などをスクープした「失われた事件記録」報道が選ばれて以来。