沖縄戦と兵庫との関わりについて学ぶ出前授業=1月31日、神戸市北区藤原台中町5、有野中学校
沖縄戦と兵庫との関わりについて学ぶ出前授業=1月31日、神戸市北区藤原台中町5、有野中学校

 NIE(教育に新聞を)活動を進める兵庫県NIE推進協議会(事務局・神戸新聞社内)が沖縄へ修学旅行に行く兵庫の中高生を対象に、太平洋戦争末期の「沖縄戦」をテーマにした出前授業を続けている。新聞記事などを使って、神戸市須磨区出身の島田叡沖縄県知事(当時)が住民保護に尽くしたことや、兵庫と沖縄の関わりを伝えている。(兵庫県NIE推進協議会事務局)

 沖縄では1945(昭和20)年4月1日、米軍が上陸し、凄惨な地上戦が繰り広げられた。日本側の犠牲者は20万人を超え、その半数は民間人だった。

 出前授業は2年前から始め、沖縄戦について長く取材している神戸新聞報道部の津谷治英記者と、同協議会の三好正文事務局長が講師を務めている。今年1月、神戸市立有野中学校(同市北区)であった出前授業には、沖縄を5月に訪れる2年生(当時)191人が参加した。

 津谷記者は、島田知事が住民の疎開や食糧確保に奔走、犠牲者の増加を懸念し軍と対立したが、戦闘を止められずに45年6月、消息を絶ったと紹介。「兵庫の先輩の行動から、命の大切さを学んでほしい」と訴えた。

 三好事務局長は戦中の神戸・姫路空襲の惨禍や、戦後の世界の対立構造を説明。明治中期の沖縄-本土航路の開設以来、神戸港は沖縄県民を受け入れ、今も多くの人が兵庫で活躍していることにも触れた。三好事務局長は「平和な世界の実現に向け、若者が戦争の記憶を語り継いでほしい」と話した。

 戦後80年の今年、神戸市内で「第30回NIE全国大会神戸大会」(7月31日=神戸ポートピアホテル、8月1日=甲南大学岡本キャンパス)が開かれる。大会スローガンは「時代を読み解き、いのちを守るNIE」。同1日は各校の公開授業や実践発表、県内外の学校・団体によるポスター発表があり、有野中の生徒たちは、沖縄での体験をポスターにまとめる予定だ。