旗を振る人たちに見送られ、洋上慰霊に出発する遺族ら=1日午後、神戸市中央区(撮影・笠原次郎)
旗を振る人たちに見送られ、洋上慰霊に出発する遺族ら=1日午後、神戸市中央区(撮影・笠原次郎)

 戦後80年で終了する日本遺族会主催の「洋上慰霊」の船が1日、神戸港を出港した。兵庫など42都府県の遺族218人が東シナ海や太平洋を11日間かけて巡り、戦没者を追悼する。

 同事業は1991年度から中国や太平洋諸島などの激戦地を訪問。計451回に約1万6千人が参加したが、高齢化で継続が困難になった。

 洋上慰霊は3回目。結団式では団長の水落敏栄・日本遺族会長と福岡資麿厚生労働相があいさつした。

 兵庫県からは遺児11人と付き添いの計13人が参加。藤田継雄さん(82)=姫路市網干区=の父・信義さんは海軍下士官で、フィリピン・ルソン島沖に向かう輸送艦が撃沈され戦死した。

 母親が苦労する姿に「父がいてくれたら」と何度も思ったという。戦没海域の慰霊祭では「立派に育ててもらったことを伝えたい」と話した。11日に神戸港に帰港する。(田中真治)