神戸港には多くの海外客船が寄港するが、実は「神戸発着」の国際クルーズは少ない。そんな中、バイキング・クルーズ社(スイス)が監修する中型ラグジュアリー船「バイキング・エデン」(4万8千トン、中国船籍)は今秋以降、関西の利用客を呼び込もうと、神戸港発着クルーズを用意している。全客室ベランダ付き、船内で追加料金が不要な「オールインクルーシブ」で、安心して楽しめる船旅とは-。(金 慶順)
■料金に飲食代込みプール、劇場も完備
2017年に就航し、ノルウェーを母港にヨーロッパクルーズを展開。24年秋からは日本発着クルーズに乗り出した。船内は9階層からなり、乗客定員は930人。日本語スタッフが多いので英語を話せなくても不便なく過ごせる。
5月中旬、横浜発着で韓国・釜山、広島、和歌山に寄港する9日間の国際クルーズの一部に同行した。パスポートを提示して乗り込むと、3階まで吹き抜けのロビー「アトリウム」が出迎える。船内の意匠はぬくもりのある北欧スタイル。夜ごとにピアノやフルートの演奏があり、高級ホテルに来たような気分だ。
本格イタリアンや各国料理などフルコースを提供する三つのレストランに加え、ビュッフェやカフェ、スパなども充実。劇場では歌やダンスのショーが開かれ、プールサイドではストレッチ教室があり、港に停泊せず終日航海する日でも飽きない。船内Wi-Fi(無料)も快適で、撮った写真はすぐ友人に送信できた。
船首側のラウンジで開放的な窓から海を眺めていると、飲み物を勧められた。豪華客船といえば「飲食に別料金がかかるのでは」との不安がよぎる。でもここでは、ソフトドリンクや昼食・夕食時の酒類、全レストランでの食事、24時間のルームサービスなど、ほとんどの飲食代(バーなどは一部有料)がクルーズ料金に含まれており、チップも不要。安心してコーヒーを頼んだ。
「フォーマルな服が必要では?」との心配も無用。日中は誰もが気楽な服装で運動やゲーム、アフタヌーンティーを堪能していた。夕方以降のレストランでは襟付きシャツやスラックス、ブラウスなどの着用を呼びかけられているが、雰囲気はカジュアルだ。
船内を散策すると、通路やデッキなど随所にソファやベッドが並ぶ。「自宅のようにくつろいでいただくため」と営業担当の松下智一さん。この船は18歳未満は乗れないが、世界に数あるクルーズ船は、細分化された顧客ニーズに対応しようと、家族向け、アクティビティが豊富、フォーマルな雰囲気-などとコンセプトが明確。自分の好みに合わせて選ぶことが大事だ。
飲んだり食べたり運動したりして疲れたので、客室のベランダに出て椅子に身を委ねた。自分だけの空間で、近づいてくる釜山港をゆっくり眺めた。
【メモ】バイキング・エデンは11月~来年5月、神戸港や横浜港を発着して四国や九州、中国地方、韓国・釜山などを巡る5~31泊のクルーズを用意。料金は27万7千円から。各寄港地(一部を除く)での基本的な観光プランも料金に含まれる。神戸新聞旅行社は6月27日午前10時半、神戸新聞社(神戸市中央区東川崎町)でクルーズ説明会を開く(要予約)。説明会やクルーズの申し込みは神戸新聞旅行社TEL078・362・7174