イカ釣りの光が夜の日本海に輝く=兵庫県香美町香住区余部
イカ釣りの光が夜の日本海に輝く=兵庫県香美町香住区余部

 兵庫県但馬地方の日本海沿岸で、夏の風物詩「いさり火」が夜の闇に輝いている。

 光源はイカ釣り船の集魚灯。漁師や釣り客を乗せた船が夕方、競うように沖へ出る。狙うは山陰の夏の味覚、シロイカだ。

 岬の突端にある標高約170メートルの香美町香住区余部、御崎地区から東を望むと、数え切れない光が60キロ先の京都府丹後半島まで連なる。強い光に頭上の星空もかすんで見える。

 同地区に暮らす岡田和さん(71)は自宅から毎晩、いさり火を眺める。「光が増えてくると夏が来たなと感じる」と話す。

 西から来遊する山陰沖のシロイカは近年不漁続き。今年は特に少なく、香住漁港の4~6月の水揚げは前年同期比で半減した。一方、スルメイカは同2・4倍と異例の豊漁という。(長谷部崇)