会見で患者の死亡を公表し、頭を下げる西神戸医療センターの北垣一院長(中央)ら=21日午後、神戸市役所
会見で患者の死亡を公表し、頭を下げる西神戸医療センターの北垣一院長(中央)ら=21日午後、神戸市役所

 神戸市立西神戸医療センターは21日、悪性リンパ腫を治療していた市内の70代男性患者がB型肝炎ウイルスにも感染していることを失念し、抗ウイルス剤の処方を中止したために急性肝炎で死亡したと発表した。

 同センターによると、患者は2023年10月に悪性リンパ腫の診断を受け、投薬治療を開始。投薬によってB型肝炎ウイルスが増殖するリスクもあることから、抗ウイルス剤の服薬を並行させることになった。

 悪性リンパ腫の治療は24年9月に終了したが、担当医はB型肝炎ウイルスの感染を失念していたため、本来は継続すべきだった抗ウイルス剤の処方も中止に。血液検査でウイルス量が増えていることにも気付かず、患者は25年1月に急性肝炎を発症し、死亡した。

 同センターは21日に市役所で開いた会見で「処方を中止しなければ肝炎を発症しなかった可能性が高い」と認め、遺族に謝罪したと説明。対策として薬剤師が処方状況を確認し、血液検査を担う部署がウイルス量をダブルチェックできる仕組みを導入するとした。

 北垣一院長は「重大な結果を招いたことは大変残念で深く反省している」と頭を下げた。(井沢泰斗)