「芭蕉の間」(手前)から右が「孔雀の間」、左が「山水の間」=2022年9月、兵庫県香美町香住区森、大乗寺
「芭蕉の間」(手前)から右が「孔雀の間」、左が「山水の間」=2022年9月、兵庫県香美町香住区森、大乗寺

 江戸期の画家、円山応挙らが襖絵を残し「応挙寺」と呼ばれる兵庫県香美町香住区森の大乗寺で、応挙が手がけた金箔地の3部屋のうち、彩色画の「芭蕉の間」だけ金箔に銅が多く含まれていることが、同寺などの調査で分かった。水墨画を描いたほかの2部屋の金箔が落ち着いた色調であるのに対し、芭蕉の間は赤みを帯びて明るく「応挙が部屋ごとに金箔の組成を使い分けた可能性が高い」としている。

 同寺では1794(寛政6)年に再建された客殿に応挙と一門が多くの障壁画を納め、165点が現存する。「孔雀の間」「芭蕉の間」「山水の間」は応挙自ら筆を執った。

 このうち、中国・唐代の郭子儀と孫たちを色鮮やかに描いた芭蕉の間だけ金箔の色相が異なり、山岨真応副住職(73)が高校、大学時代の同級生で工学博士の千田哲也さん(73)に組成分析を依頼した。