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 「日本人を雇って補助金は出ないけど、外国人を雇ったら出るんですよ。そんなおかしな制度ないじゃないですか」。衆院選中の先月31日、参政党の神谷宗幣代表は宝塚市内での街頭演説で、そう主張した。厚生労働省に確認すると、日本人を雇用する事業者への支援メニューは多数あった。一方、国が実施する外国人の雇用支援は1件だった。

 同党が訴える「移民の制限」に関連した主張のなかでの発言。「外国人の方と日本人の賃金が本当に一緒になったら、日本人を雇うようになりますからね」「外国人を雇って補助金とか意味が分からない」とも述べた。

 そもそも労働基準法は、労働者の国籍や社会的身分などを理由に賃金、労働時間などで差別的な扱いをしてはならないと定めている。最低賃金も国籍にかかわらず適用される。技能実習生らも含まれる。

 厚労省によると、国が行う雇用関係の助成メニューは58。労働者のスキルアップや非正規社員の正社員化、テレワークの導入など対象は幅広い。障害者や高齢者、シングルマザー、就職氷河期世代の新規雇用への助成もある。中小企業向けの人材確保では、事業者に対し1年間で最大1千万円が助成される。

労働基準法

厚生労働省

令和7年度 雇用・労働分野の助成金のご案内(簡略版)

雇用関係助成金一覧

令和7年版 労働経済の分析

兵庫県

外国人介護人材受入施設環境整備事業

 目的はいずれも雇用の安定や失業の予防など。国籍の制限はないが、日本人を想定している。

 国の58の助成メニューのうち、外国人を雇用する事業者に限定した制度は「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」の一つだけだ。通訳費や翻訳機器導入費など、外国人の事情に配慮した就労環境の整備に上限80万円まで助成する。

 厚労省外国人雇用対策課の担当者は、国の雇用支援について「外国人を日本人より優遇する制度ではない」と説明する。

 一方、地方自治体には、慢性的な人材不足が続く介護業界などを中心に外国人材の受け入れを補助する制度がある。

 神戸新聞が連携する認定NPO法人「ファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)」のガイドラインに基づき、冒頭の発言内容を検証した。外国人の雇用支援を目的にした制度はあるが、神谷代表の「そんなおかしな制度はない」という結論部分は「日本人を雇って補助金は出ない」という事実誤認を前提にしているため、全体として「誤り」とした。