おはぎや餅が店頭に並び、京阪神や播磨地域でおなじみの大衆食堂「力餅食堂」。京都女子大の奥井亜紗子准教授(46)=社会学=は、農村から都市への人の移動と家族の変化を研究してきた。力餅や「千成餅」「大力餅」といった「餅系」食堂の発展を支えた店主や従業員には但馬地域の出身者が多く、自身の専門領域とも重なることから、力餅食堂への関心を強めた。店の魅力や研究の意義、面白さなどを、奥井准教授に聞いた。(阿部江利)
-なぜ、力餅食堂の研究を?
「学生時代に但馬地域で(農村社会の)調査に関わって以来、今も各地で調査を続けている。豊岡市日高町で調査をした時、地元の住民から昔話で『ここらへんは力餅(食堂)に(働きに)出る人が多かった』と聞いたのが始まり。私は大阪出身で、昔から食堂はあちこちで目にしていたが、初めて聞いた時は『あの力餅』だと気付かなかった」