山陰海岸国立公園の絶景ポイントの一つ「田井ノ浜」(新温泉町指杭)で、長年放置されてきた船屋2棟(計29区画)について、県は来年度に解体・撤去する方針を固めた。かつて漁船や漁具などを収納したが使われなくなり、廃虚化が進んでいた。跡地にベンチ3基を設け、展望スペースとして整備する。(長谷部崇)
田井ノ浜は玉石(たまいし)の広がる「れき浜」で、波が引く際は無数の石の転がる音が響く。海岸一帯は、日本列島が大陸の一部だったころにマグマが地下深くで冷え固まったとされる花こう岩が分布。浸食の進んだ断崖や洞門、洞窟などが見られる。
昔は海水浴場も開設されていたが、近年は廃虚化した船屋が景勝地としての魅力を損なっていた。県自然鳥獣共生課によると、国立公園の園地として整備を始めた1975(昭和50)年ごろの図面にはすでに船屋が記されており、築50年以上経過しているとみられる。