生活保護訴訟の最高裁判決を受けた専門委員会=10月、厚労省
 生活保護訴訟の最高裁判決を受けた専門委員会=10月、厚労省

 厚生労働省は、生活保護費の2013~15年の引き下げを違法とした最高裁判決への対応で、当時の減額分の追加支給について、全額ではなく一部にとどめる方向で調整に入った。当時の一般低所得世帯の消費実態を踏まえると、全額支給は難しいと判断した。原告側は全額補償を求めており、反発が出るのは必至だ。関係者が6日、明らかにした。

 厚労省は08年のリーマン・ショック以降に物価が下落していたなどとして、食費や光熱費などの「生活扶助」の基準を13~15年にかけて平均6・5%引き下げた。当時の受給者は約200万人。問題の基準は18年に改定されるまで使われたため、減額は累計で数千億円規模になるとみられる。

 厚労省は今年8月以降、行政法などの識者による専門委員会で対応を協議してきた。近く取りまとめ議論に入る。同省は今後、具体的な水準や対象など詳細を詰める。

 これまでの専門委では追加支給の是非や、支給する場合の水準などについて議論。厚労省は既に死亡している人は追加支給の対象外とする案などを提示していた。